"MarketingはMini-MBA"
Asynchronous Session(ビデオ講義)で教授も言っていたが、明らかに自分の中での「マーケティング」の定義が合っていなかったようだ。
普通「マーケティング」というと、販売戦略とか広告・宣伝戦略、実行の話かな?なんて漠然と思っていたんだけど、よく考えてみれば「売るべきものが何なのか?」「その価値はどこにあるのか?」「競争優位に立てる要素は?」などなど、事業を立ち上げるのとモノを売るのは同じことなんだ、と改めて考えることができた。
それにしても、この授業は密度が濃い。大きくは3つのブロックで構成されている。
- 通常の授業(15%):教材・文献の読み込み、Asynchronous(ビデオ講義)、Synchronous(ライブ授業)での議論、という通常の中身。マーケティングにおける考え方、ツール、テクニックを学ぶことができる。
- SABREによるシミュレーション(35%):ある会社で製品開発、販売チャネル戦略、広告戦略、販売実行などなどをシミュレーション、クラスを6つのグループに分けて毎週投資する先と金額を決定して、その結果の儲け額を競うもの。授業で習ったテクニックを使った分析などの宿題もあり。
- Project(50%):既存もしくは新規の商品・サービスについて、授業で習ったツール、テクニックを使い分析・評価を行い、マーケティング計画を作る。
実は授業の密度はかなり濃い。毎週3-4時間分のビデオ講義と文献を読むだけで5-6時間はかかる。中身もHBRのPaperだったり、教授の書いた本だったり、基本的な内容ではあるものの、実例に即したものが多いので読み応えがある。その予習をベースに毎週90分のライブ授業に向かうわけだが、そこでも発言していかないとクラスの中で埋もれていってしまう。前の学期のData Analyticsも大変だったが、やはり議論中心のQualitativeな内容で英語で太刀打ちするのは大変。
SABREは有名なMBAでも使われているだけあってよくできている。毎週仲間と1時間くらい議論しながらその週の投資配分を決めていくのだが、意見をすり合わせる様は、まるで会社の中での意思決定を行なっているのと似ている。真剣になるには理由もあって、実は6チームに分けて対抗して行くのだが、その結果(累積利益額)でスコアが35, 33, 31, 29, 27, 25と減っていく。いい成績を取ろうとするのであれば、35%配分のあるこのクラスで上位2位くらいになっておかないと辛い。実際にうちのチームは4位だったので、29/35しか加点できなかった.....
何よりも大変なのがProject。過去の事例をいくつかもらうのだが、どれも良くできていて、且つ40ページくらいの分量がある。基本的にはStart-Upなどの企画書をベンチャーキャピタルなどに持ち込んで投資判断してもらうレベルの内容が求められるので、分析対象も手法もロジックもなかなかのレベルのものが必要となる。実際、Week2くらいにはネタは決めておいたのだが、求められる内容はまだ習っていない状態。結局ある程度週が進んでいかないときちんとした中身のものは書けない仕組みになっている。ということは毎週地道に書き進めるか、最後の1-2週で一気に書き上げるしかない。自分の場合はちょうど仕事のピークと重なったこともあり後者を選択、目次だけは作り、参考文献、資料、情報は気がついた時にこまめに集めておくも、レポート自体を書いたのは2週間くらいしかなかった。いやー、なかなか痺れましたよ、このレポートは...
見ての通り、レポートは45/50(90%)という成績でした。競合分析が甘い、という一言に尽きたようです。確かに思い当たる節はあって、時間がなくて手を抜いたところがそのまま減点になったと....
担当教授はすでにスタートアップを2つ立ち上げ、どちらも売り抜いてひと財産築いた後に、UNCから誘われて教える側に回ったらしい。聞いてみると、この手のIndustryでの経験を経てから助教授や講師の形でMBAの先生として誘われるケースは多いらしい。もちろん、ずっと大学で学部生や大学院生を教えてきている人もいるのだが、やはり現場経験のある人の授業は面白い。時々滅茶苦茶なことを言ったりもするが、話がリアルなところがいい。もちろんアカデミックな要素も必要だけど、リアル社会の話と関連していないと聞いていても面白くない。
ということで、苦労したこのマーケティングの授業、最終の成績は87.5/100ということになった。残念ながらH(上位25%を上限としてグレード)は取れなかったが、Mini-MBAと呼ばれる授業にて若い人たちに混じって健闘できた方ではないか?
やはり授業で議論していても、若い人の方が頭が柔らかいし弁が立つ人が多かったので、そういう中であーだこーだ議論していくのはとても経験になった。仕事の現場だと、やはり既にある程度の立場にあるとそんなにチャレンジしてこない若い人の方が多いのだが、MBAの場は全くハンデなしのガチバトル。お互いの素性もよくわからない同士、ロジックという武器で対抗してくる。もちろん、こっちは30年の社会経験で培ってきたスキルで対抗していくが、若い人の勢いや怖いもの知らずの物言いは簡単には論破できない。
リカレント万歳!!