アメリカの歴史は人種問題の歴史そのものだ
建国から250年経っていないこの国は、植民地時代から大きな発展を遂げ、1787年の合衆国憲法制定、1789年の初代大統領ジョージワシントン就任により独立することになるが、その後の西への領土拡大、南北戦争など人種問題と密接に関係した歴史を経てきた。
その歴史の中で様々な人種と交わり、アメリカ合衆国という巨大な国家に飲み込んでいったが、人種差別は決してなくなることがないまま今日を迎えている。アメリカンドリームの名の下に勝者と敗者、貧富の差、それらが常に人種問題、人種差別と合わせて議論されてきた。
教育においても未だ白人至上主義は変わっていないように思えるが、それでも有色人種の権利は相当向上してきたとも感じることができる。例えばUCのキャンパスに行くとアジア人とインド人が多いことに嫌でも気がつくし、相対的にUCの教育レベルも上がってきたとも言える。教育機関の発展に様々な人種の力は欠かせないものであることがわかる。
昨今のGeorge Floyd事件は人種差別を背景にした悲しい出来事であった。それはその後の全米、全世界レベルでの抗議活動の広がりでも分かる通り、アメリカ国民だけでなく全世界の人間が心に抱えてきた違和感や傷に触れたのだと思う。ただ、その抗議活動に端を発した暴動や略奪の類は決して許容できない。COVID-19の影響で物理的・精神的に抑圧された生活を送ってきたことがその理由として正当化されるべきではない。1日も早く人々が心の落ち着きを取り戻し、本来の問題は何であるのかを思い出してくれることを切に願う。
ツラツラと書いてきたが、私が月末から通うUNC Chapel Hillもアメリカを代表する教育機関の一つとして様々な声明を出している。その一部を紹介したい。
As members of UNC’s Commission on History, Race, and a Way Forward, we condemn the death of George Floyd in police custody and the deeper structures of white supremacy and racial injustice that set the conditions for such acts of violence. We recognize that those same structures perpetuate inequities on our campus and in the broader community in which UNC is situated. The commission’s charge – to reckon with the past in order to move forward – compels us towards actions that expose and dismantle the legacies of violence and advance restorative justice.
This is our history, but it need not be our future. In times of crisis, there is also opportunity – opportunity to create a new nation that is defined by the radical love that respects the dignity of all humanity and binds us together in the struggle for justice.
UNCの中でも未だに人種差別があることを認め、そこに対しアクションを取っていくことを宣言している。ピンチは常にチャンスでもある。いろいろな問題を抱えた国ではあるが、こういう行動の速さはアメリカから学ぶべきところだと思う。
アメリカのMBAに通うことで、MBAプログラムの中身だけでなく、アメリカという国の凄さと脆さを感じたいと思っている。オンラインという環境でも、どこかでそういう部分に触れる事はできると信じている。きっと自分がアジア人、日本人であることを嫌でも感じさせられるような場面があると思う。そういう時に自分がどういう気持ちになるか、どう仲間たちの中に溶け込んでいくのか。
そういう視点でも楽しみなMBAである。